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モトケンさんのブログ記事「筋弛緩剤事件控訴審判決公判」について、思うところを述べたいと思う。 とはいえ、私のスタンスとしては、モトケンさんに賛成であり、モトケンさんのブログ記事に言いたいことはだいたい載っていることから、周辺的なことを述べる。 まず、刑事裁判における控訴審というものが、どういうものなのか、確認する必要がある。 そもそも控訴審というのは、一審の裁判の続きをやる場でも一審の裁判のやり直しをする場でもないのです。 モトケンさんの説明は、さすがに元検さんだけあって、非常に理解しやすい。 弁護人あるいは被告人は、通常、「一審の判断は正しくない!」と思うから、控訴をする。 で、控訴をするのなら、当然、「ココとココが、こういう理由で正しくない!」ということを主張して、控訴審の裁判所にもう一度点検・審査してもらう必要がある。 そのために、控訴した当事者は、自らの主張を記載した控訴趣意書を、控訴審の裁判所に提出しなくてはならないことになっている。 刑事訴訟法376条1項 「差し出さなければならない」という表現に、カチンとくるのは私だけか。 それはそれとして、控訴趣意書というのは、教科書的に言うと、弁護人あるいは被告人が作成する控訴理由を記載した書面ということになる。 そして、控訴審は、当事者の一方である弁護人あるいは被告人の主張する控訴理由の存否を判断する手続になるため、控訴審の裁判所の義務的調査の範囲も原則として控訴趣意書に記載された事項に限られることになる。 刑事訴訟法392条1項 控訴趣意書は非常に重要な書類であり、控訴裁判所が定めた控訴趣意書提出期限までに提出されないと、決定で控訴棄却となる。 刑事訴訟法386条1項 「決定で」というのは、公判を開かずに裁判官だけでやれちゃうということ。 条文上は、「しなければならない」と義務的規定になっている。 ちなみに、麻原こと松本被告の裁判で、問題となっているのは、まさに、この条文である。 控訴趣意書が提出期限内に提出されれば、公判期日が開かれる。 刑事訴訟法389条 控訴審の公判期日には、まず最初に、弁護人が、あらかじめ提出してあった控訴趣意書に基づき、控訴理由について弁論することになる。 通常は、弁護人が「控訴趣意書記載のとおりである。」と述べておしまい。 ここで弁論したら、後述の新たな事実の取調べが行われた場合を除き、弁護人に弁論を認める規定はない。 控訴裁判所は、控訴趣意書に記載された事項については、上述のとおり調査義務があるので、ます控訴趣意書を読んで、一審の訴訟記録を精査し、一審の証拠を吟味して、一審判決の当否を検討する。 だから、この調査だけで、一審判決の当否が判断できる場合には、直ちに原判決破棄にしろ控訴棄却にしろ、裁判をすることになる。 この調査だけでは一審判決の当否を判断できない場合に、事実の取調べ、すなわち、一審の訴訟記録や証拠以外の新たな資料を取り調べて、事実の存否を判断することになる(393条1項2項)。 刑事訴訟法の控訴審の構造を踏まえると、モトケンさんの以下の記述は、ごもっともと思います。 その観点で本件を見てみますと、仙台地裁の一審は2001年7月11日の第一回公判から2004年3月30日の判決公判まで約2年9カ月が費やされ、その間、証拠調べ期日が150回近く開かれています。 そして、仙台高裁は、判決を出したのでしょう。 今回、被告人は、控訴審の法廷で、意見陳述を認められませんでした。 刑事訴訟法388条 控訴審では、被告人は、法律上自ら弁論することはできないことになっています。 さらに、これについては、三省堂の模範六法に、こんな判例が載っています。 控訴審は一審判決の事実点ならびに法律点に対する事後審査の手続である。被告人に被告事件について陳述する機会を認める291条2項は性質上控訴審に準用されない。被告人が出廷している場合に、裁判所が認めてなす質問に対し任意に供述できるにとどまる。(最決昭26.3.30) これも、控訴審の事後審という性格に由来します。 ちなみに。 390条 モトケンさんは、控訴審において、弁護人が退廷したことについて、こう述べられております。 私は、弁護人はどんな事情があっても自ら退廷してはいけないと思います。 私も、自ら退廷することは、ダメだと思います。 ただ、こんなこと言っちゃいけませんが、裁判所を説得するなんて、非常に虚しさと、無力感を感じる作業です。 弁護士誰もが思うことでしょう。 裁判官と喧嘩しても始まらないと思います。 裁判所は、刑事訴訟法上、広範かつ強力な訴訟指揮権をもっております。 しかも、刑事訴訟法上、控訴審というのは、かなりできることが限定されている手続です。 怒って退廷しても、懲役に行くのは弁護人ではありません。 麻原こと松本被告の控訴趣意書問題のときも思いました。 控訴趣意書を提出しないことにより控訴審での審理の機会を奪われ死刑が確定するのは弁護人ではなく、松本被告である。 今回の件は、幸い、詳細な控訴趣意書が提出されていたのでしょう。 上告審につながります。 |
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モトケン URL 2006/03/23 21:52 |
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