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<<   作成日時 : 2006/09/06 11:42   >>

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結果が重大だからといって、危険運転致死罪を適用できるかは別問題。

最高懲役20年 撲滅の切り札 危険運転罪に高い壁

 福岡市東区で飲酒運転の車に追突された車が海に転落し、幼児3人が死亡した事故を受けて、悪質な飲酒運転事故の容疑者に厳罰を求める声が高まっている。しかし、最高20年の懲役を科すことができる危険運転致死傷罪は立証が難しく適用のハードルは高い。業務上過失致死傷容疑などで逮捕された福岡市職員の今林大(ふとし)容疑者(22)に対する福岡県警の捜査が注目されている。

 事故から1週間以上経過した現場には、今なお花束や缶ジュースなどを供える人が絶えない。手を合わせていた男性会社員(48)は「罪もない幼い子ども3人の命を奪い、両親を地獄に突き落とした容疑者はそれ相当の罪を償うべきだ」と語気を強めた。

 飲酒など悪質な運転による事故を抑止する「切り札」として導入された危険運転致死傷罪。ただ、2005年に全国で摘発された人身事故約85万5000件のうち同罪が適用されたのは0、03%。導入時の02年は322件に適用されたが、05年は約13%減少した。「過失ではなく、故意に危険な運転をした」ことを立証する難しさが原因といわれる。

 「赤信号と知って交差点に進入した」「法定速度の2倍のスピードで走った」―。こうした運転はドライバーの判断を伴うだけに「危険運転の故意」は比較的浮かび上がりやすい。飲酒運転の場合は「酒を飲んで正常な運転ができないと認識したにもかかわらず、運転を継続した」ことが危険運転の故意とされる。

 つまり、容疑者が「酒は飲んだが運転は大丈夫だった」と供述すれば故意を否認したことになる。同罪を適用しようとすれば、捜査当局は蛇行など危険な運転をしていた目撃証言など「運転が大丈夫でなかった」という客観的証拠を補充しなければならない。

 福岡市の海中転落事故の場合はどうか。今林容疑者の供述は二転三転しており、今のところ危険運転の故意は不明だ。

 「何をもって正常な運転が困難かを示す文言も数値基準も法律にはない。捜査現場では道交法違反の酒酔い運転の目安となる『呼気1リットル当たり〇・5ミリグラム以上』のアルコール検知が必要とされる」(県警幹部)。今林容疑者の事故直後の検知数値は0、25ミリグラム。歩行検査でも真っすぐ歩き、片足でも立てた。事故の目撃情報も少なく、福岡東署は飲酒運転の検問などを通じて情報収集にあたっている。

 交通事故被害者の支援に取り組む松本誠弁護士(大阪弁護士会)は「過去の判例から見れば、今回の事故は飲酒量だけで危険運転致死傷罪に持ち込むのは微妙だろう。今林容疑者が車に乗り込んでから事故を起こすまでの間、危険な運転をしていなかったかどうかの解明が焦点になる」としている。

■危険運転致死傷罪
 東名高速道で1999年11月、飲酒運転のトラックが乗用車に追突し、幼児2人が死亡した。この事故で業務上過失致死傷罪などに問われた運転手は懲役4年の判決を受けた。5年以下の懲役・禁固の同罪の適用は、悪質な交通事故の刑罰としては軽過ぎるとの批判が高まり、最高20年の懲役が科される危険運転致死傷罪が2001年12月施行された。(1)アルコールや薬物の影響で正常な運転が困難(2)進行制御が困難な高速度(3)運転技能を有しない(4)妨害目的の運転(5)赤信号をことさら無視―が構成要件。

 =2006/09/04付 西日本新聞朝刊=
(西日本新聞) - 9月4日10時7分更新


この事故についての、ブログ記事「もう、いい加減にせぃ。」で、「事故の態様を見ると、業務上過失致死罪ではなく、危険運転致死罪で捜査が進められ、起訴がされるのではないか。」と推測した。

だが、記事にあるとおり、「今林容疑者の事故直後の検知数値は0、25ミリグラム。歩行検査でも真っすぐ歩き、片足でも立てた。」とすると、確かに危険運転致死罪の構成要件に該当するか微妙だ。
ちなみに、事故直後の身体に保有するアルコールの程度が、呼気1リットルにつき0.25ミリグラムというのは、旧道路交通法で酒気帯び運転とされる最低ラインだった(現行法では0.15ミリグラム以上で酒気帯び運転となる。)。

危険運転致死罪の条文は次のとおりとなっている。
刑法208条の2(危険運転致死傷)
アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で四輪以上の自動車を走行させ、よって、人を負傷させた者は15年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は1年以上の有期懲役に処する。
以下略
あくまで、客観的に、「正常な運転が困難な状態で」自動車を運転したのでなければ、危険運転致死罪は成立しない。
「正常な運転が困難な状態で」とは、現実に、前方の注視が困難になったり、ハンドルやブレーキなどの運転操作が困難な心身の状態になったことである。
で、故意として、運転者に正常な運転が困難な状態であることの認識が必要である。

被疑者は、「助手席の友人と話をしていて、前の車に気がつかなかった。」と供述しているようだが、正常な運転が困難な状態でなかったのなら、酒気帯び運転+前方不注意(よそ見運転)による業務上過失致死事件にしかならない。
助手席の友人とどんな話をしていたかも鍵だろう。
助手席の友人が、例えば「被疑者は、確かに酒に酔ってはいたが、話も普通にしていたし、事故を起こすまで普通に運転していました。」と供述していれば、危険運転致死罪を適用する証拠にはならない。
だが、助手席の友人が、例えば「被疑者は、かなり酔っている様子で、こちらの問いかけにも上の空で、時々居眠りをしたり、あるいは信号を見落としたり、とても正常な運転ができる状態ではありませんでした。」と供述していれば、危険運転致死罪の証拠になりうる。
警察は、助手席の友人から、後者のような供述を得ようと、一生懸命ではないだろうか。

検察は、立証の困難さから、危険運転致死罪での立件を見送り、業務上過失致死罪での立件で済ませるかもしれない。
業務上過失致死罪の法定刑の上限は、懲役5年だ。
道路交通法違反と併合加重しても、刑の上限は7年6月となる。

事故では、罪もない、何の落ち度もない、3人の子どもたちが、死んでしまった。
被疑者の態様も非常に悪い。
でも、それは、MAX7年6月の範囲内で考慮されるに過ぎなくなってしまう。

そうなると、心情的には、やりきれない。
だが、日本が法治国家であり罪刑法定主義をとる以上、その行為を処罰する法律がなければ処罰できないし、処罰する法律があっても定められた刑をこえて処罰はできない。
あとから、法律を作って処罰することも許されない。
刑法というのは、国民に対し、あらかじめこういうことをしたら、こんだけの罰を受けますよということを明示して、それにより国民の自由を保障する目的もある。

危険運転致死傷罪が創設されるとき、最大の懸念は、安易に拡張的に適用されていくことだった。
国民の多くがハンドルを握る時代である。
警察や検察の恣意的な運用で、業務上過失致傷罪よりも刑が重い危険運転致死傷罪が、安易に適用されないために、法は厳格な要件を定めたはずだ。
それが、今回のような事件では、立件の難しさに繋がるのである。

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危険運転致死傷罪
さてさて今日のニュースでのことですが福岡で3児死亡した痛ましい事故がありましたよね。あの判決が出たわけですが... ...続きを見る
ようちゃんの日記
2008/01/20 02:29

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
あのやろうは、酔いを覚ます為に後輩にペットボトルを持ってこさせて1gくらい水を飲んだそうで、水を持ってきた後輩というのも捕まったようです(ちょっとかわいそうな気もする)、それと、事故をおこした車両の後方を走っていたタクシードライバーは、事故前に蛇行する車を見て居眠りかな、と思ったそうです。

これって有効な証言ですよね。
とんぼ
2006/09/06 13:45
被疑車両の蛇行というのは、被疑者が正常な運転が困難だったという事実を推認させるものであり、重要な事実ですね。
PINE
2006/09/06 14:07

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