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<<   作成日時 : 2007/03/09 22:48   >>

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多様な意見がある。

被害者参加制度 法廷で加害者に直接質問 一部被害者が反対
3月8日8時1分配信 産経新聞

■法務省に要望書

 犯罪被害者や遺族らが刑事裁判に参加して被告人に直接質問などができる「被害者参加制度」に絡み、導入に反対する一部被害者や弁護士らが7日、「被害者と司法を考える会」を設立し、法務省に要望書を提出した。同制度の導入を盛り込んだ刑事訴訟法改正案が今国会に提出されるのはほぼ確実だが、同会は「現行制度案では公判で被害者が加害者側から攻撃される恐れがある」などとして導入に反対している。「被害者に手厚い司法」をめぐり、被害者や関係者の受け止め方が多様であることを物語る動きといえ、制度導入に向け今後も議論を呼ぶことになりそうだ。

 会の代表には、平成9年に大型ダンプカーにひき逃げされて二男=当時(8)=を亡くした片山徒有(ただあり)さん(50)が就いた。

 法制審議会(法相の諮問機関)は2月、被害者参加制度と、被害者が刑事裁判の法廷で民事上の損害賠償を請求できる「付帯私訴制度」の導入を答申。法務省は両制度の導入に向け、閣議決定を経た上で刑訴法改正案を今国会に提出する予定だ。法案が成立すれば、来年の秋から冬には制度が始まり、一般国民からくじで選ばれた裁判員が裁判官とともに刑事裁判の審理に参加する裁判員制度(21年5月までに導入)より先行することになる。

 しかし「被害者と司法を考える会」は7日の要望書で、「制度を選択した場合、公判で加害者側から攻撃される二次被害、選択しなかった場合は被害者感情を過小にとらえられる危険性が予測される」と問題点を指摘。その上で、(1)事件直近から被害者を支援する弁護士を国費で付ける(2)裁判員制度の導入後に被害者参加制度を加えた模擬裁判を実施し、導入すべきプランを複数用意した上で議論する−などを提言している。

 ■二次被害/感情過小評価の恐れ

 被告や証人の供述・証言に反論できないなど、刑事裁判で“蚊帳の外”に置かれるもどかしさを感じてきた被害者・遺族の思いに後押しされる形でまとまった被害者参加制度。だが、一部被害者のほか、日本弁護士連合会が一貫して導入に反対の立場を取っている。

 被害者側から異を唱える片山さんはこれまでも、「被害者・遺族の多くは事実を受け止めるのに時間がかかり、1回しかない裁判で感情をどれだけしっかりとした言葉にできるか疑問だ」と訴えてきた。

 「被害者と司法を考える会」の設立を受けて7日に会見した片山さんは、「参加したい人だけが権利を使えばいいという発想は怖い。今回の制度は刑事裁判の結果が民事に直結するため、被告側が被害者の落ち度を指摘することで被害者が二次被害を受ける恐れのある設計。リセットした上で、再度考え直した方がいい」と話す。

 日弁連も、(1)刑事裁判が報復感情に支配されかねない(2)被告が弁解や反論ができなくなるおそれがある−といった弊害を指摘。特に裁判員制度への影響について「被害者と被告が直接対峙(たいじ)して感情的な質問や応答がなされれば、裁判員の情緒に強く働きかけ、証拠に基づいて冷静になされなければならない事実認定に影響を与える」と懸念を示す。

 こうした批判に対し、平成9年10月に妻を殺害された後、「全国犯罪被害者の会」(あすの会)を設立し、制度創設を推進してきた岡村勲弁護士は「被害者には何も話させず、被告だけに言いたいことを言わせるのは許されない」と反論する。

 岡村弁護士は「被告に適正な刑を科してほしいと願う被害者が、裁判官の訴訟指揮権の及ぶ法廷の柵の内側で感情的になることはあり得ない」と指摘。さらに「選挙権と同じで、まずは被害者が刑事裁判に参加するという権利自体が存在しなければならない」と強調している。

 刑訴法改正案の今国会提出はほぼ確実。被害者参加の実現に向けた論戦の場は今後、国会へと移ることになる。

                  ◇

【用語解説】被害者参加制度

 被害者が検察官を通じて申し出て、裁判所が許可すれば、「被害者参加人」として刑事裁判の法廷で、柵の内側に入ることができる。故意の犯罪行為で人を死傷させた罪(殺人、傷害致死傷など)や業務上過失致死傷といった罪で起訴された被告の裁判が対象。(1)事実関係などの被告人質問(2)情状面に限った証人尋問(3)検察官の論告・求刑と同様に被告に求めたい刑罰などの陳述−ができる。政府が平成17年12月に策定した「犯罪被害者等基本計画」に盛り込まれた内容の具体化に向けて法務省が法制審に諮問、2月に答申を受けた。
これまで、犯罪被害者や遺族が、刑事裁判の蚊帳の外に置かれていたことは否定できない。
このブログでも何度か指摘してきたが、刑事裁判というのは、国家が刑罰を科すために行うものであり、被害者の処罰感情を実現するものではない。
だが、私刑を禁止するのであれば、国家の科刑手続の中に犯罪被害者や遺族の意思を反映せさないと、私刑の禁止といっても納得が得られない。

今度の国会で犯罪被害者参加制度を定める法案が提出されるようだが、もう少し議論をしてからでも良かったのではないだろうか。
ま、議論なんかしていたら、先送りされておしまいにされる可能性も出てくるのだが。

刑事裁判では、どんな極悪非道な犯罪を犯した者でも、資力がなければ国で弁護人が付され、法廷の中では手錠も腰縄も外され、基本的に言いたいことは主張できる。
そうした権利を被告人に保障したうえで、裁判所が審理を行い、裁判所が刑罰を科すのである。
言葉は悪いが、刑事裁判は、刑務所に行く前に、せめて言いたいことが言える場でもある。
そうした場に、犯罪被害者や遺族を参加させることには、弁護士として若干の躊躇を覚える。

また、刑事裁判は、そもそも、有罪か無罪かを審理する場である。
有罪か無罪かも決まっていない段階で、犯罪被害者や遺族に被告人を攻め立てる場を与えてよいものだろうかとも思う。

もし、犯罪被害者や遺族が、被告人を追及するような質問をしたり、あるいは被告に厳しい刑罰を求めた後で、後日、富山の事件のように被告人の無罪が判明した場合、こういうことをした犯罪被害者や遺族は、今度は自らがその被告人に対して加害者の地位に立つことにならないか。
富山の事件は、ガンガン無罪を争った事件ではなく、単純な自白事件だったのである。

それから、「被害者と司法を考える会」は、「制度を選択した場合、公判で加害者側から攻撃される二次被害」を受けるおそれがあると指摘している。
被告人に利益となる仕事をしなくてはならない「弁護人」という立場で考えた場合、被告人の量刑を重くする要素となる犯罪被害者や遺族は、検察官と同じ立場の「防御の対象」となり、これまでだったらあまり触れなかった被害者側の落度についても法廷で厳しく指摘する必要がでてくるかもしれない。
犯罪被害者や遺族からの被告人に対する質問に対し、異議を連発せざるを得ない事態も生じるかもしれない(そもそも今回の新制度のもと異議を出せるのか確認してないが。)。

法テラスのおかげで刑事弁護から遠ざかることになったが、むしろ良かったと思ったりする。

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