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help リーダーに追加 RSS 朝日新聞はとにかく法曹人口拡大に議論を持って行きたいらしい。

<<   作成日時 : 2008/09/19 23:10   >>

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法曹人口拡大自体は、国の政策だから、なるようにしかならないと思っている。

朝日新聞の平成20年9月18日の社説から。
行政訴訟―残る課題は素早い判決

 密集地を整然とした街並みに変える。鉄道を高架にして、開かずの踏切をなくす。こうした様々な事業が「公共の福祉」の名の下に、政府や自治体によって進められる。

 その事業が本当に「公共の福祉」にかなっているか、住民の人権や財産を侵害していないか。そうした判断をするのが行政訴訟だ。行政や立法をチェックする司法の真価が問われる。

 ところが、日本の行政訴訟では、住民にとって三つの大きな壁が立ちはだかってきた。

 まず、住民が裁判を起こすと、訴える資格があるかどうかを審査される。たとえば道路公害の場合、計画区域の地権者ではなく周辺の住民でも原告になれるかということである。この「原告適格」について、裁判所は厳しく限定することが多かった。

 しかし、司法制度改革で04年、原告適格を広げる法改正が行われた。最高裁も翌年、鉄道の高架化に対する国の認可の取り消しを求める裁判で、地権者だけでなく、騒音を受ける恐れのある周辺住民まで認める判断を示した。

 二つ目の壁が、事業のどの時期で提訴できるか、ということだった。

 これについては、浜松市の土地区画整理の取り消しを求めた訴訟で、最高裁が先週、計画段階での提訴を認めなかった42年前の判例を変更し、計画段階でも提訴できるとした。

 計画区域に住む住民は、自分の土地を削って提供することになるのだから、どのくらい不利益を受けるかは計画段階で十分わかる。それが最高裁が今回示した論理だ。

 お役所主導の日本社会のなかで、長く「行政追随」との批判を受けてきた最高裁が、その姿勢転換をより鮮明にしたといえる。この判断は道路やダムの建設など、他の行政訴訟でも広く適用されるべきものだ。

 残った最後の壁は、判決まで時間がかかりすぎることだ。往々にして工事が終わってしまう。その場合、住民の言い分が認められても、完成した事業を元に戻すと混乱するため、結局は請求を退ける判決が下されてきた。

 浜松市の場合、住民が提訴して4年半になる。最高裁は門前払いの下級審判決を取り消して一審に差し戻した。ようやく計画の当否をめぐる本来の審理が始まるが、事業はすでに着工され、11年度には完了する予定だ。住民らが「これまではロスタイムだった」と嘆くのも無理はない。

 行政訴訟の速度を飛躍的に上げる必要がある。例えば、着工を一時止めるかどうかを1カ月以内に判断する。そのうえで、半年をめどに判決を出す。そのくらい大胆な改革が要る。

 それには質と量ともに十分な裁判官と弁護士が必要だ。法曹人口の拡大計画のペースを落としてはならない。
朝日新聞のこの社説は、最後の1行がとてつもなく変なのだ。
法曹人口の拡大計画のペースを落とすなという主張は別に良いのだが、それまでとの結びつきを考えると、強引なのだ。
ねじ曲げ〜という印象を受ける。

法曹人口を増やしても、事件に関与する特定の裁判官や特定の弁護士が、その事件だけに専念できなければ、意味がない。

いわゆる刑事事件の大物被告人が、私選弁護人として複数の弁護士を雇って充実した弁護を受けたり、単独の弁護人であってもその刑事事件に集中的に取り組めるのは、充分な弁護士報酬を支払っていたりするからである。
他の事件で稼ぐ必要がない状態であれば、一つの事件に専念できる。
国選弁護事件で、ホリエモンのような集中審理はありえない。

また、民事事件でも事件が大きくなればなるほど、代理人たる弁護士の事務量は増える。
依頼者との綿密な打ち合わせ、証拠集め、理論構成の検討、書面の作成、何だかんだ言って、仮に一つの事件に専念しても、かなりの時間が必要になる。

複数の弁護士で対応すればいいのではないかという意見もあろう。
でも、一人のボス的地位の弁護士が複数の弁護士を使って仕事を進めても、複数の弁護士が弁護団を組んで分担して仕事をしても、依頼者との打ち合わせや証拠集め、理論構成の検討、書面の作成などは、やっぱりそれなりの時間を要するし、弁護士が複数になれば、新たに相互の調整ということも必要になる。

依頼者も忙しい人だったりすると、なおさら大変である。

行政事件で、国が相手だったりすると、いっくらこっちが頑張っても、相手方の訟務検事が国内部の調整なんかに手間取って、なかなか準備書面が出てこなかったりして、それだけで気がつくと数ヶ月が過ぎてしまったりする。
地方自治体が相手だったりすると、その地方自治体の顧問弁護士が訴訟を対応したりするが、エライ先生だったりするので、その事件だけに集中するわけがない。

理屈が飛躍するところは、ま、朝日新聞だから仕方がないのかもしれない。

ちなみに行政事件訴訟法25条2項及び3項。
2  処分の取消しの訴えの提起があつた場合において、処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるときは、裁判所は、申立てにより、決定をもつて、処分の効力、処分の執行又は手続の続行の全部又は一部の停止(以下「執行停止」という。)をすることができる。ただし、処分の効力の停止は、処分の執行又は手続の続行の停止によつて目的を達することができる場合には、することができない。
3  裁判所は、前項に規定する重大な損害を生ずるか否かを判断するに当たつては、損害の回復の困難の程度を考慮するものとし、損害の性質及び程度並びに処分の内容及び性質をも勘案するものとする。
執行停止制度の運用をもうちょっと何とかすることを考えるのが現実的かもしれない。

ただ、浜松市の事件は、やむをえない部分が多いだろう。
原告の代理人も、裁判所も、事件の迅速な処理のために力を入れていた印象を受ける。
だが、さすがに、判例変更を伴う重大な事件だったからなぁ。

私は、元公務員で、司法試験の法律選択科目も行政法で、行政法関係の本を読むのも好きである。
でも、行政事件は、ごくごくマレにしかやらない。
理由は、田舎ということもあろうが、事件がないからである。

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コメント(3件)

内 容 ニックネーム/日時
今後,行政事件に積極的に取り組もうとする若手弁護士はどんどん減っていくでしょう。だって,そんなことの前にまず自分が食っていくのに必死だもの。

記事に出てくるような行政訴訟は,実働部隊(?)はのほとんどが若手ですから,少なくとも当面は法曹人口増は行政訴訟の長期化につながりそうです(これが国の司法改革の真の狙いという人もいますしね)。

ちなみに,「十分な裁判官が必要」という点は賛成。しかし,これだって,法曹人口の「数」の問題ではなく,最高裁判所に付けられる予算の問題だし。

あいかわらず,この論点をめぐるマスゴミのレベルの低さは度し難いですな(医療過誤事件で医師が法曹の無理解をけなすときの気持ちがよく分かります)。
ねどべど
2008/09/20 12:43
最高裁による裁判および裁判官統制、司法官僚制が変わらない限り、「国民の役に立つ行政訴訟」はあり得ない。朝日は本当にどうしようもない新聞。
人生幸朗
2008/09/22 21:16
行政訴訟については法曹増員だけでは解決しないことが多いです。なのにホントに朝日は短絡です。
PINE
2008/09/23 07:48

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